★ワールドカップ経済効果 サッカー選手の年俸とスポーツビジネス★

ワールドカップの経済効果

◆ワールドカップの賞金が凄い! | スポーツビジネスは巨大産業だ! | サッカー選手の年棒からスポーツビジネスを考察する◆


 

「ほとんど盛り上がらなかった」これが日本人の2014年FAFAワールドカップ ブラジル大会における一般的な感想ではないでしょうか? 日本が決勝トーナメントへの進出どころか,予選リーグの1勝もできず2敗1分で終わったことや,放映時間が悪かったことが理由であると思います.そして日本サポーターにとってはストレスフルな試合ばかりであり「ヤフーコメント」を見ると激しく非難が繰り広げられて,なんとも後味の悪いワールドカップになってしまいました.

 

失望の原因の一つは予選突破は確実というような報道をしたマスコミに多くの日本人が乗ってしまったことでしょう.「FIFA世界ランキング」から見れば順当な結果です.それでも,せっかくの4年に1度のサッカーの祭典,本日は経済の視点からワールドカップの経済効果や賞金にまつわる話を紹介し,スポーツがビジネスとしていかに魅力的であり巨大産業であるかに迫ってみたいと思います.

 

 

●ワールドカップの高額賞金「参加賞金8億円」「優勝賞金35億円」●

 

みなさんワールドカップには高額の賞金が設定されているのをご存じでしょうか? 先ずは参加選手や関係者側の視点から経済効果を考察してみたいと思います.なお,ドル価格に慣れていない方のために「1ドル=100円」に換算して記すことをお断りしておきます.

 

≪ワールドカップ 2014 ブラジル大会 賞金≫
「予選リーグ敗退」:8億円
「ベスト16」:9億円
「ベスト8」:14億円
「ベスト4」:20億円
「3位」:22億円
「準優勝」:25億円
「優勝」:35億円

 

これとは別に「ワールドカップ出場賞金」が1.5億円,準備金として出場国に支払われます.そのため,今回の予選リーグ敗退により日本が得た賞金額は9.5億円ということになります.代表メンバーが23人+監督の計24人ですので,1名当たり約4000万円が報酬として支払われるのですね! というような単純な話ではなく,本賞金は「日本サッカー協会」に支払われてそこから配分されます.選手や個人が手にする賞金は不明ですが,それでも勝てば勝つほど賞金が上がるのは実にわかりやすく合理的なシステムと言えますね.

サポーターは日本敗退でフラストレーションいっぱいかもしれませんが,選手や関係者はまさに自身の報酬や組織運営に関わる問題であり,悔しいどころの話ではないことがわかります.外野はいつも自分勝手なことを言いますが,予選敗退により期待していたボーナスが貰えない失望は本人たちにしかわかりません.もちろん金がすべてとはいいませんがよりも現実的で定量的な分,闘争本能に火をつけるのではないでしょうか.

ちなみに日本サッカー協会の2014年度予算は「約183億円」の収入を見込んでいますが,この予算にはなんと「ベスト8進出を見込んだ収入」が計上されておりまして,6億円が下振れする計算になります.ちなみに支出(費用)は「約179億円」が予定されておりますので,どこかを削らないと2億円の赤字になってしまいます.ありゃりゃ.

 

 

●サッカー選手の年棒 サッカーは世界で最も稼げるスポーツ●

 

先ほどワールドカップの賞金について紹介しましたが,この賞金の価値は各国の代表選手にはどのように映っているのでしょうか? これを推察するには選手の収入,つまりは「サッカー選手の年棒」を確認しなければ価値が判断できません.例えば庶民にとっては100万円は相当な額ですが,7兆円以上あると言われる「ビル・ゲイツ」にとっては,100円コインくらいの重みしかないでしょう.というわけで,サッカー選手っていくら稼いでいるの? を見てみましょう.

 

≪サッカー選手「年収ランキングベスト20」(出典:米経済誌フォーブス)≫
1位 クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード):約73億円
2位 リオネル・メッシ(バルセロナ):約65億円
3位 ズラタン・イブラヒモヴィッチ(パリSG):約34億円
4位 ネイマール(バルセロナ):約28億円
5位 ラダメル・ファルカオ(モナコ):約26億円
6位 ギャレス・ベイル(レアル・マドリード):約24円)
7位 ウェイン・ルーニー(マンチェスター・U):約22億円
8位 セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・C):約21億円
8位 ヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・C):約21億円
10位 フェルナンド・トーレス(チェルシー):約20億円

 

世界TOPクラスの選手は20億円以上稼いでいることがわかります.夢がありますね.ちなみにフォーブスでは「世界のスポーツ選手の年収上位100名」も公表してまして,クリスティアーノ・ロナウドはボクシング世界チャンピョンのフロイド・メイウェザー・ジュニアに次いで世界で2番目に稼いでいるプロスポーツ選手とのことです.BEST30までにサッカー選手が6名エントリーされており,同8名のバスケットボールに並んで,もっとも稼げるスポーツの一つと言えるでしょう.

ちなみにJリーグ選手の年棒(2014年)は1位がセレッソ大阪のフォルランで3.4億円,1億円以上の年棒を得ているのは14人の選手のみとなります. J1リーグプロサッカー選手平均年俸は2217万円(出典:Jリーグ全選手名鑑)となっています.海外のトップリーグの待遇とは桁が一つ違いますね.

さて賞金の話に戻りましょう.優勝賞金が35億円で,もし選手一人あたり1億円支払われるとすると仮定すると,Jリーグ所属の選手であれば年収以上のボーナスが貰えることになります.日本だけでなくメジャーなサッカークラブに所属していない選手にとってはこれは大きな収入でしょう.そうすると,W杯に「名誉」「やりがい」を求めるのか,それとも「賞金獲得」を目指すのかは,国や選手によって異なるのでそんな視点で観戦するのも面白いかもしれません.

 

 

●ワールドカップの経済効果●

 

次にワールドカップの具体的な「経済波及効果」を見ていきましょう.「経済波及効果」と一口に申しましても,その中にはいろいろな項目がありますので整理してみます.
「建設費(スタジアム等)」「インフラ等整備費」「イベント運営費」「グッズ販売費」「広告費」「宿泊費」「飲食費」「デジタル機器費(液晶テレビやデジカメ)」
等が代表的なものとして上げられるでしょう.実際に過去のFIFAワールドカップの経済効果を見ると以下の通りです(出典:電通総研調査報告書).

・2002年日韓共同大会:約2兆円
・2006年ドイツ大会:約3,000億円
・2010年南アフリカ大会:約3,000億円

2002年は主催国でしたので「スタジアム建設」や「インフラ整備」だけでなく,イベント運営や諸外国からの観光客からの収入により約2兆円という巨大な経済効果があったと分析されています.ドイツ大会および南アフリカ大会は他国開催ですので日韓共催に比べて経済効果は小さくなりましたが,それでも.今回のブラジル大会もこの2大会と同様の経済効果があるのでは? と言われています.

 

 

●日本におけるW杯ブラジル大会の経済効果は小さい●

 

しかしながら,肌感覚として2006年や2010年のW杯に比べて今回のブラジル大会は盛り上がりに欠けるように思います.マスコミは盛り上げようと必死になっていますが,熱心なサポーター以外のいわゆる私のような「にわかファン」はテンションを上げずらい大会であると言えます.祭りに便乗して盛り上がりたいけれどもチャンスがない.まさにそんな感じです.なぜでしょうか?

第一に放送時間がよろしくない.ブラジルとの時差はマイナス12時間.スタジアム観戦だけでなくTV放映は巨大ビジネスですので,南米(北米)および欧州の視聴者が一番テレビ観戦しやすい時間に試合が設定されています.つまりは現地時間での夕方~夜ですね.現地17時キックオフであれば日本時間5時からの放送になりますし,現地20時スタートであれば日本は8時からの放映です.これが盛り上がりに欠ける決定的な要因でしょう.

早起きしなければ試合を見られなかったり,日本の通勤通学時間帯に試合が開催される.当然視聴者は限定されることとなり,飲食店などで皆で一緒に観戦できる場がなければ「にわかファン」は見る機会を失います.ちなみに以前バルセロナの「カンプノウ・スタジアム」にて「レアルVSバルセロナ」を観戦した際は試合開始が22時でした(笑).ヨーロッパ人のサッカーへの情熱はクレイジーの域に達しています.

第二に日本が初戦で負けてしまったことでしょう.初戦で世界の強豪国との力の差をリアルに見せつけられ,敗退したことにより決勝トーナメントの出場に黄色信号が点滅してしまいました.初戦敗退により応援のモチベーションが一気に下がったのは私だけではないはずです.そしてギリシャ戦の引き分けにより予選敗退が濃厚なものとなりサポーターが冷めてしまった.日本がコロンビアに勝つのは無理だろうっと.事実惨敗でした.

ランキングを見れば予選突破が困難であることは明白であるのに, 多くのTVや新聞が「日本の予選突破は手堅い」というようなスタンスで国民を洗脳してしまったため,失望感が大きくなってしまったのでしょう.目標を決勝トーナメント進出としていれば,ここまで代表メンバーが批判されることはなかっただろうにと思えてなりません.

日本がギリシャに引き分けた翌日には日本代表ユニフォームを半額で販売しているショップもあり,相当数の在庫が発生ていることは間違いありません.その他日本の決勝トーナメント進出を予定して売上増加を見込んでいたショップやサービスイベントも少なからずあるでしょうから,今回のブラジル大会の経済効果は前回大会よりもずっと小さくなるのではないでしょうか?